今回と次回の2回に亘って、落花生の上手な食べ方について書かせて頂きます。今回は加工した落花生の食べ方、次回は落花生そのものの食べ方についてです。
落花生は様々な加工がなされます。生の落花生には6%、煎った落花生だと2%しか水分を含まないために硬く、粉砕等を行った方が消化に良いことが知られています。そのような中で現在、注目されている加工製品が落花生から油を採った後の脱脂ピーナッツミールです。落花生は油を採る種子としては4番目に多く生産されています(大豆、菜種、ひまわり種、落花生の順)。ちなみに、これらの種子のことを「油糧種子」と呼ばれます。この油を採った落花生が脱脂ピーナッツミールです。我が国ではなかなか販売品を見ることはありませんが、シリアルバーなどに利用されています。この脱脂ピーナッツミールは油が搾り取られているためにタンパク質が豊富です(47〜55%)。発展途上国では高価な動物性タンパク質の供給が難しいために、価格が安く、現地生産も可能なこの脱脂ピーナッツミールが注目を集めています。一方で、先進国でも、カロリーが低く、食物繊維やビタミンEが豊富な脱脂ピーナッツミールが健康的な食材として多くのメディアに取り上げられています。
この脱脂ピーナッツミールは油を絞る時に100〜150℃で熱処理した場合をホットプレスと呼び、60℃以下とした場合をコールドプレスと呼びます。前者は淡褐色で深みのあるナッツ風味で、後者はクリーム状で香りは強くありません。このホットプレスとコールドプレスの消化についての研究が発表されています(Food Chem (2013) 141(4) 4246-4252)。この研究では、両者をビーカーの中で胃液酵素(ペプシン)と膵液酵素(パンクレアチン)で処理して、どの程度、タンパク質が分解されているか調べました(図参照)。この結果、搾油時に熱処理したホットプレスの方が、タンパク質が分解され易く、消化によいことが分かりました。香ばしくて、消化も良い脱脂ピーナッツミールのホットプレスはこれからますます注目される落花生の新たな食材です。