事業の拡大に伴い、新工場の用地を探し始めたのは昭和60年代のこと。いくつか候補地はあったものの、決め手がないままに時が過ぎていました。決断のきっかけとなったのは、今も私たちの主力商品のひとつである「味のこだわり」の大ヒット。 “味も、品質もこだわり抜いたこの商品を、新しい工場でつくりたい”との思いが決断を後押ししたのです。そして新工場用地も内定。いよいよという時に、当時の上山市長から蔵王山麓への工場誘致をご提案いただいたのです。すでに候補地が内定していたこともあり、最初はお断りしました。しかし、その後もあまりに熱心に薦められるため、一度現地を見ておこうということになったのです。
現地を訪れた瞬間、その環境の素晴らしさに息をのみました。蔵王連峰を一望できる立地、国道13号線とエコーラインの交差点に位置するロケーション。見ていただいた建築家の先生も「金銭面等の条件はさておき、この土地に決めるべき」と、ちょっと興奮気味におっしゃったほどでした。そして何よりも決め手となったのは地下水。この地に湧き出る水は、お菓子づくりに最も適したやや軟水だったのです。計画は一気に進み、平成6年(1994年)に蔵王の森工場は一部が稼働を開始し、翌年には全面稼働することができました。
この地に工場を得たことで、私たちの心の中に、ある変化が生まれました。それは、この美しく豊かな自然を守り続けたいという意識や、ふるさとへの思いがより一層強くなったこと。私たちはこれからもずっと、ここ蔵王の森工場で、おいしくて安全・安心なお菓子づくりに励み、そして美しく豊かなふるさとの自然環境を守り続けていこうと思います。