気候危機が叫ばれる中、世界各地で温暖化、水不足、自然災害などが大きな影響を及ぼしています。また、食品ロスやプラスチックゴミ問題が拡大し、環境問題の解決は最重要課題となっています。でん六は、自然の恵みである豆、とりわけ少ない水の量で栽培できるピーナッツなどの持続可能な資源を扱う企業として、食や水資源、エネルギー問題の解決に先導的に取り組みます。
重要行動目標 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
|
行動目標 | ||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
|
少量の水で栽培できるなどサステナブルな作物とされる
ピーナッツ。さらに農業ICT技術やAIでの需要予測などでロスを
徹底的に削減。
自然環境に悪影響をもたらすプラスチックごみの廃棄を減らすため、商品パッケージにおける紙素材や生分解性素材の活用、また小型化・スリム化を図る。
これまで廃棄されていたものを新しい素材やより良い製品に加工して、「無駄を価値に変える」アップサイクルの仕組みを構築する。
限りある資源の1つである水をサステナブルに利用していくために、生産における水利用をデジタルで管理。効率的な利用を促進する。
でん六では、一貫してお菓子の「鮮度販売」に取り組んできました。1963年に製造年月日を全商品に明記したこともそのひとつです(現在は賞味期限を記載、半生商品の甘納豆のみ製造年月日も併記)。製造年月日の記載は、当時まだ大手水産会社の魚肉ソーセージとでん六だけしか事例がなく、菓子業界ではもちろん初めてのことでした。
この企業努力が評価され、中小企業庁長官表彰、食品衛生の優良施設表彰を受賞したことで、先進的な企業としても注目されることとなりました。そして鮮度管理においてもいち早く取り組み、1975年には豆菓子業界で初めてとなる低温倉庫の活用を開始しています。
それから18年の歳月をかけて磨き続けた鮮度へのこだわりは、1981年に菓子業界で初めてとなる「トータル鮮度管理システム」の完成として結実しました。これは原材料調達と保管・商品製造・配送を一気通貫で管理したシステムです。
以来、商品の在庫管理を徹底し、食品ロスを最小限に留めるべく取り組んでいます。
豆菓子の生産過程(落花生の選別)で発生するピーナッツの「半割れ」。でん六は粒ぞろいにこだわり、半割れが少ないことも評価をいただいてきましたが、この半割れピーナッツの有効利用という課題がありました。そこで、検討を重ね、半割れピーナッツとチョコを混合して絞った商品「ピーナッツチョコ」を1974年に開発。ピーナッツとチョコの相性が抜群、止まらないおいしさと値ごろ感で大ヒットとなりました。現在もでん六の看板商品となっています。
一部豆菓子製造工程でピーナッツ胚芽などが脱落しますが、特に胚芽は苦味があるため廃棄されてきました。
この胚芽の利用方法を探るため、2013~2015年に山形県の「バイオクラスター形成促進事業」を活用して慶應義塾大学先端生命科学研究所、山形大学農学部、県立米沢栄養大学、県工業技術センター庄内試験場との産学官連携による共同研究を実施しました。その結果、ハイオレイックピーナッツの胚芽にはポリフェノールやアミノ酸が豊富であることが判明し、抗酸化機能や認知機能向上への寄与が期待される研究成果も得ることができました。
この成果を用いて「ピーナッツ胚芽チョコ」を商品化し、蔵王の森工場の見学者さま向けに限定販売を行いました。これからも社外とも連携しながら、アップサイクルによる食品ロスへの取り組みを模索し続けていきます。
でん六では、甘納豆について日本一の製造・販売量を誇りますが、製造過程で大量の糖液が廃棄されます。この廃棄糖液は、バイオマスエネルギーの原料として再利用しています。
また、選別工程で規格外となったピーナッツ・豆は食用油や飼料に加工し専門業者へ販売するほか、ピーナッツの渋皮は堆肥に加工して有効利用。原料以外でも、工場排水を処理した際に発生する汚泥を再生肥料として工場の花壇などに使用するほか、原料が封入されていた紙袋や麻袋、段ボールなどは全て買い取られ、さまざま利用用途ごとに再利用されています。
でん六では、賞味期限・使用期限を延長するべく品質保持の方法や商品形態などを常に改善することで、食品ロスの抑制に努めています。保存サンプルを科学的に分析し、賞味期限の延長可能なものがないか見直しを進めています。また、年末年始など長期休業時の在庫管理などにおいても無駄が出ないようにお得意さまとの事前の綿密な交渉を実施し、サプライチェーン全体で食品ロスの抑制に努めています。
でん六では2018年より、世界規模で食品安全対策を進めるため、フードサプライチェーン中の種々の食品安全規格を網羅する国際規格「FSSC22000」の認証を全工場で取得・運用しています。これは他規格の領域も包含・補強しており、より確実な食品安全管理を実践することができる食品安全マネジメントシステムです。また、この規格に準拠することにより、食品の安全性だけでなく食品ロスも抑制することが可能となります。
>「安心・安全への取り組み」について1997~1998年にかけて、山形・上山市内で通関手続きが可能になったことを受け、以前は横浜港に荷揚げしていた中国からの原材料輸送ルートを酒田港へ変更しました。
気象データを独自調査し、トランジット港も酒田と気象条件が近い釜山港へ改めています。これにより、船での輸送期間が短縮し原材料鮮度が良くなったことに加え、コストダウンにも貢献。また、横浜港からの輸送と比較し国内のトラックでの輸送距離が約300km短縮するとともに、1997年には輸送トラックも10t車から18t車に切り替えたことにより年間の陸送車を約500台削減、排気ガスの排出量削減を実現しています。さらに、外部倉庫を活用して一括配送とすることで物流の無駄も抑制するなど、地球温暖化につながるCO2の削減に努めています。
でん六では、2001年に「社内廃棄のあり方新ルール」を策定。ゴミの分別・排出・処分において全面的な見直しを実施したことで、廃棄物削減と経費削減を達成しました。
また、2014年9月には帳票印紙を電子化し月間約4万枚のペーパーレス化を実現するなど、社内資料のペーパーレス化とともにコピー用紙の両面利用、コアレストイレットペーパーの採用を行っています。そのほか、本社での電気使用量の継続的な記録・検証を行いながらクールビズの推進、工場内やオフィスの照明器具のLED化、トイレなど照明の消し忘れが多い空間には人感センサーを導入するといった省エネ化を進めています。
「蔵王の森工場」では、「おいしさは環境にやさしい工場から」という想いから花をたくさん植えるなど緑化を進め、1991年に通産省「工場緑化推進全国大会」会長奨励賞、1992年農林水産省「まちづくりコンクール」農林水産大臣賞、1994年には内閣総理大臣賞を受賞しています。
そんな環境配慮型工場では、設備購入の際には省エネ効果が高く稼働効率が良いものか検証して随時入れ替えを実施しています。そして、燃やすことでダイオキシンが発生する包装材料は全面的に対策品に切り替え、環境負荷の小さい燃料(LSA重油・天然ガス・LGP)を使用するなど、工場周辺の環境に悪影響がないか、操業による騒音が起きないか、常に調査・対策を実施。そのほか使用済みユニフォームについては廃棄せず購入元を通じて他製品の原料にリサイクル、工場内で運搬に使用するプラスチックパレットについては破損しづらい新しい構造をメーカーと共同開発しています。
でん六では近年、環境に配慮し商品パッケージのリニューアルを進めています。2010年には、パッケージ印刷に使用するインキを水性インキに変更。2019年4月には、一部商品の包材について、使用済みペットボトルを粉砕・洗浄しPET樹脂に戻したメカニカルリサイクルGLに変更することでCO2の排出量を20%削減しています。2019年8月には、「味のこだわり」の内装を、より低温で接着可能なバリア接着剤によるスポット接着に切り替え、包装処理時の省エネ化を実現。同年、一部の商品の搬送について、森林認証制度「FSC認証」マークの入った段ボールへの切り替えも行っています。そのほか、2020年1月からは、一部の商品の包材について白インキをバイオマスインキに変更しています。
また、2020年9月より、6商品を皮切りにこれまでトレー入りだった商品をトレー抜きにリニューアルし「ECOパッケージ」と表記。年間約15.2tのプラスチック削減につながっています。プラスチックについては、商品段ボール荷合わせ時に使用するテープをPPバンドからクラフトテープに変更するなどプラスチックの使用削減に努めています。
さらに、パッケージと段ボールを薄肉化し物流による環境負荷とコストを低減、節分鬼の紙製お面についてゴムかけ部分を「抜き穴」から「切りこみ」に変更して廃棄物を削減するなど、細部まで徹底してパッケージ・包材における資源の無駄を抑制しています。
2011年2月~2019年6月まで、「Eサイズ ポリッピー塩味」についてカーボンフットプリント(CFP)マーク付き商品を販売しました。
CFPとは、原料調達から加工、配送・廃棄までのサイクルの中での温室効果ガスの量をCO2排出量に換算し、商品やサービスにわかりやすく表示する仕組み(運営事務局は一般社団法人サステナブル経営推進機構)。でん六によるCFPマーク付き商品の販売は、業界・東北地方初の事例となりました。